そこで再び、俺の中からこのような言葉が聞こえる。
「それならさ。アフィリエイトをやってみたらどう?ヤフーオーク
ションでもいいよ。せどり(古本の転売)っていうのもあるよ。
とにかく『インターネットでもできる仕事』を、始めてみてはどうか
な。きっとうまくいくと思うよ?なおきの能力ならきっと良いサイトが
作れるよ?文章もほら、あまり書く必要がないしさ・・・」
・・・それも無理です。同じ理由でね。
俺は一時期、出会い系サイトを徹底的に調べてみた時期がある。
H目的の軽いやつではなく、もっときちんとした出会いを目的とした
やつだ。実際に新しくフリーメールのアドレスを作り、メル友募集の
掲示板に何回か書き込みをしてみたこともあった。
だが、やる気が出なくなった。「自分が楽しむため」ではなく
「今が苦しいから。寂しいから」という目的で、下心を持って
出会いを求めてそれ系のサイトをさまよっても、決して俺に良い仕事は
できない。あの方面のサイトで一番大切なのは「何回もめげずにトライ
すること」なんだよ。
それ方面の本も何冊か読んだからちゃんと知識は
ある。
「下心を持ってキーボードで文字を打とうとしても、指が動かない」
これは、前に説明したとおりだね。同じことが
「文章を書く前後の地道な作業(HPを探したり、構成を練ったり)」
に対しても当然当てはまる。そのような「やる気が出なくなる俺」が
いくら出会い系サイトで地道な作業を続けようとしても、できないん
だ。ぐったりと疲れてそれ以上やる気がしなくなる。
同じことが「アフィリエイト関係」にも言えるよね。
俺は2006年には「
アフィリエイト関係の本」を徹底的に読み
あさった。読んだ本の数は20冊を越えるだろう。どれもほぼ同じこと
が書かれていた。「アフィリエイトで暮らしていける収入を得るために
一番大切なのは、地道な作業の積み重ね」
自分のオリジナリティを出したサイトを作り、その内容をこまめに
グレードアップしていく作業を繰り返してこそ、満足のいく収入が
手に入るというのだ。これには俺もすごく納得できる。
だから、俺にはそれができない。理由は・・・もう説明したよね。
俺は他人からアドバイスされる可能性のある、ありとあらゆる行為を
すでに試している。徹底的に自力でもがきまくって「もうどうしようも
ないや」という結論に至ったから、このように穏やかな気持ちで
今という「綱渡りの毎日」を過ごせている。
常人だったら気が狂いそうになるくらいのプレッシャーだよ。
でも、
俺はそれ以上のプレッシャーをずっと受け続けた。高校時代。そして中学時代にね。
苦しみに対して俺は免疫がある。ある種の悟りのような境地まで
達している。他人が泣き叫び地団駄を踏んでわめき立てるような場面で
顔色一つ変えることなく、平然としていられる。
「苦しい」と感じるが「辛くはない」と感じる。
だってそれが人生でしょう。
人生とは最初から苦しいもの。それをいくら喚いたところで現実は
変わらない。もう、そう悟ってしまっている。
ちなみに俺は中学校時代は「泣き叫び、地団駄を踏んで喚いていた」よ。
でも
誰も俺を助けてくれなかった。だからこそ俺は「自分を救えるのは自分だけだ」という諦めに似た
悟りの世界への扉を開いた。
「どんなに苦しくても、ただ淡々と努力しよう」
そう心の底から理解してから、俺は泣き叫ばなくなった。
それまでは家族に喧嘩を吹っかけたり、家で大暴れした経験も持って
いるけれども、高校時代のある時期からそれがピタリと止んだ。
その途方もないフラストレーションを全て「本を読みながら前向きに
努力する」という方向へ向けた。
普通の人間では、ありえないくらいの激痛と孤独。
そのエネルギーを全て「建設的な方向へ、前向きに努力する」方向へ
俺は向けた。
その結果、どうなったか。
ここに恐ろしいほどの主体性を持った人間が生まれた。
これまで出会った
第三者の大人たちは皆
「あんたってすごいね」という驚嘆に似た称賛を向けてくれた。
非常に光栄なことだった。
正直に言わせてもらうと、俺はこの世の大人たちを信じない。
俺に対して偉そうな顔でアドバイスしてくる彼らは、俺が
「それは俺には無理なんです。なぜなら・・・」ときちんと理由を
説明したとたん、「ウグッ」と言葉に詰まって何一つしゃべらず
黙って立ち去っていった。
だから先ほどの、ロムさんのコメントはすごく嬉しかった
「あなたのことは僕は助けられません」って言ってくれた。
こんな言葉を言ってくれる人は初めてだった。
俺に対してコメントを、アドバイスをしてきた世の大人たちは
誰一人そんなことを言ってくれなかった。
「Aしてみたらどう?」
「Bしてみるといいんじゃない?」
・・・
そのような「自分の持っている持ち球」を全て投げ終わったとき、
彼らはただ「・・・」と無言になる。
あるいは意味不明の言葉を喚きたてて、議論自体を煙に巻こうとする。
そんな卑怯な大人たちにはたくさん出会ってきた。
この世に「謙虚さを持ち合わせた人間」というのは、そういない。
「ごめんなさい。今の私には無理です」という言葉を素直にきちんと
言える人はほとんどいない。俺の父親を筆頭に。
自らのメンツを保つために、ヘラヘラ笑いながら「そのうちなんとか
なるよ!」と明るく言われるだけ。
こちらが真剣に、人生の全てを懸けて悩んでいた事柄に対する彼らの
扱いがいつも、それだ。
俺以上の頭の良さを持った大人なんて、この世にいるのかな。
「俺以上の知識を有している人間」にはたくさん出会えるが
「俺と同じか、それ以上の『本質的思考能力』をもった人間」には
一人も出会えない。この世の著述家を取っても同じだ。
表世界には、俺の居場所はない。なぜなら俺の頭が良すぎるから。
これは自慢でもうぬぼれでもなく、これまでの俺の体験した世界から
導き出された自然な結論だ。